歯周病は歯科治療の基本です

歯周病のサイン

[私の考え方]でも述べましたが、北大歯学部の学生時代に、石川純先生という歯周病の大家の先生から講義を受けて、歯周病の重要性を認識しました。教育も充実していて学生時代に歯周外科手術も経験しています。

開業当時、ペリオⅠ型という保険制度があって、3ヶ月規制のため日常的に歯周病治療をしている歯科医師は、下北地域では私を含めてたった2名でした。県内でも全国的にも3%の歯科医院しか日常的に歯周病に取り組んでいませんでした。平成8年に3ヶ月規制が撤廃されてから、ほとんどの先生が歯周病治療を行うようになりましたが、それまでは歯周病は放置されていました。開業当時からの歯周病の患者さんは、約30年になります。

次のような症状がでたら要注意です。

[歯周病のサイン]
1.噛むと痛い
2.よく噛めない
3.歯肉が腫れている
4.歯肉から出血する
5.口臭がする
6.物が挟まる
7.歯がグラグラする
8.歯肉から膿みが出る
9.歯がしみる

歯周病とはどんな病気でしょうか?

歯周病とは歯周組織の病気です。歯周組織とは、歯の周りの組織で、歯肉、歯槽骨、歯周靭帯(歯根膜)、セメント質の四つの組織をいいます。
歯周組織 1.歯肉
     2.歯槽骨
     3.歯周靭帯(歯根膜)
     4.セメント質


臨床的には歯ぐきが赤くなって腫れたり、歯がグラグラして膿みがでてきたりする病気です。歯の周りの骨を歯槽骨といいます。歯周病は歯槽骨が吸収されて高さが減少したり、カルシウムの密度が減少して質的にももろくなる病気です。

歯周病とはわかりやすくいうと、「歯ぐきが赤くなって腫れたり、歯槽骨が吸収されて歯がグラグラして膿みができたりする病気」です。

歯と歯槽骨を結合している組織は歯周靭帯(歯根膜)です。歯周靭帯(歯根膜)が歯垢や歯石(歯垢が石灰化したもの)によって破壊されると、あるいは歯ぎしりなどによって悪化すると、歯周ポケットが形成されて深くなっていきます。3mm以下を歯肉溝、4mm以上を歯周ポケットといいます。悪化すると、歯周ポケットが深くなっていきます。

歯周病の原因には大きく分けて2種類あります。一つは炎症性因子で前述の歯垢や歯石です。もう一つは力学的因子で噛み癖や歯ぎしりなどです。力学的因子は促進因子と考えられていますが、現実にはそれ以上に重要です。

歯周病治療の手順

歯周病は中等度以上であれば誰でも口腔内を見ただけでただちにわかります。経験豊富な歯科医師であれば歯周病が軽度でも口腔内を見ると判別できます。実際は次の手順で行います。

[歯周病の基本的な検査と基本的な治療の手順]
1. 歯周病精密検査
2. 磨き残しの検査、上顎か下顎の歯石除去
3. 磨き残しの検査、下顎か上顎の歯石除去
4. 2回目の精密検査
5. 磨き残しの検査、全体の1/3のスケーリング•ルートプレーニング
6. 磨き残しの検査、全体の1/3のスケーリング•ルートプレーニング
7. 磨き残しの検査、全体の1/3のスケーリング•ルートプレーニング
8. 3回目の精密検査
❊スケーリング•ルートプレーニングとは
「歯石を除去して、歯の根の面を滑沢化(ツルツルに)すること」
それによって、歯周組織の再生を促すこと

[動揺度高度のとき]歯のグラグラが高度なとき
1. 暫間固定
2. スケーリング•ルートプレーニング
3. 歯槽骨のある程度の回復(再生)を待つ

[膿みが出て腫れているとき]
1膿瘍切開
2.必要に応じて抗生物質投与や鎮痛剤の投与

[歯周病悪化因子の治療]
1. 歯ぎしり
2. 噛み癖
3. 生活習慣の見直し
4. その他の悪化因子

歯周病の悪化

[階段状の悪化]
私たちの体は慢性的な疾患があってもある程度の状態を維持しようとして、平衡状態を維持します。それに耐えられなくなったときに、急激に階段状に悪化します。まとめると次のようになります。
1.平衡状態から急激に悪化する
2.悪くなったら、通院しても元の状態に戻すのは難しい
3.腫れたり痛んだりしても様子を見て我慢しているうちに、悪化する。
4.歯周組織の治癒力が低下する
 したがって、悪化する前に通院して処置するのが最善です。

[悪化する原因]
歯周病は生活習慣病です。生活習慣の変化や口腔内の変化が悪化因子になります。
1.精神的ストレス
 結婚、就職、離婚、受験、転勤、出世
2.強い咬む力
3.6歳臼歯の喪失
4.離れた最後臼歯
5.ブリッジの支台歯の脆弱化
6.深いポケットからばらまかれる歯周病菌
7.定期検診に来院しない
8.自己流の磨き方
9.かみしめ、くいしばりを認識していない
10.噛み癖を認識していない
  噛み方、噛む力、噛む速度、噛む部位、左右差
11.硬い物、ナッツ類、チューインガム、
12.甘いものが好きだと骨が脆くなる
13.早食いで歯や骨を痛める
14.固定が緩む
15.固定が緩んだことに気づかない
16.ブリッジの破折
17.部分入れ歯がガタガタする
18.支台歯の動揺
19.不用意に硬い物を噛む
20.全身の抵抗力が落ちる
21.暫間固定のチェックを怠る

[悪化したときの症状]
1.噛むと痛い
2.よく噛めない
3.歯肉が腫れている
4.歯肉から出血する
5.口臭がする
6.物が挟まる
7.歯がグラグラする
8.歯肉から膿みが出る
9.歯がしみる

歯周ポケットの深さとBOP

ポケットプローベという検査器具で、歯の根と歯肉の間の深さを測ります。
その値が深いという事は、歯の根と骨をつないで歯を支えている歯周靭帯(歯根膜)が、その深さまで破壊されていることを意味します。

[歯周ポケットの深さ]
1.軽度 4−6mm
2.中等度 7−9mm
3.重症 10mm以上
4.BOP  (Bleeding On Probing)ポケット診査時の出血

BOPが見られるとうことは、歯周病が進行性であることを意味します。BOPがあれば、まずBOPゼロをめざします。

[歯肉の状態の評価]
1.歯肉の形態
2.歯肉の腫脹
3.歯肉の出血
4.歯周ポケットの深さ
5.歯肉の光沢
6. スティップリングの有無
で評価します。

スティップリングは引き締まった歯肉を意味し、歯肉が健康であるという印です。