お母さんになる方へ

妊娠時の歯肉炎について

妊娠時のホルモンの作用

1.歯周組織の抵抗力を減少させる
2.歯肉に対する局所刺激の反応を強める
3.妊娠前より見られた歯肉炎を増悪させる

妊娠時の歯肉炎の程度

15歳から34歳の850例を調べたところ

 1.歯肉が健康な人   53%
 2.歯肉炎が見られる人
   妊娠2ー7ヶ月 34%
   妊娠8ー9ヶ月 68%
     (by  Bruszt )

妊娠時の歯肉炎

一次的原因  口腔の不潔
二次的因子  妊娠

従って、口腔内を清潔に保てば妊娠していても歯肉炎を起こさないと言えます。

妊娠中になぜ口腔が不潔になりやすいのか

1.つわりがあるときは
  歯ブラシを口に入れることがめんどうくさくなります。

2.妊娠中の体の動きが制限されます。

  腹帯をすると、あるいは下腹部をつきだすと
  身をかがめる、顔を洗う、歯を磨くという動作
  がしにくくなります。

3.洗面所の位置が遠い所にあるとき

  寒い北側の暗いところや、居間から遠い位置。

4.歯肉出血があるとき
  表面はやわらかく非常に出血しやすくなります。
  やわらかい食べ物を好むようになります。
  歯磨きの回数が減ります。

5.歯垢の害をよく知らない
  歯垢があると、歯肉炎が起きやすくなります。

妊娠時に歯肉炎を起こさないための対策

1.小さめの歯ブラシ(小児用か幼時用)を使います。
2.居間で椅子に座って、ゆっくりと空磨きをします。
3.必要なら、身近な台などの上に洗面器をおきます。
4.練り歯磨きをつけません。(または最後に少量)
5.定期的にかかりつけの歯科医院で、歯垢や
 歯石除去:PMTC(必要ならブラッシング指導)
 Professonal Medhanical Tooth Cleaning
6.歯肉から出血するときは、やわらかい歯ブラシを
 使いあます。(そのための専用の歯ブラシがあります)
7.普段から定期検診をうけて、口腔清掃に努めましょう。

妊娠中に歯の治療を受けたいとき

妊娠5ヶ月から8ヶ月の間が安全性が高い時期です。流産や早産の危険性が低いからです。
ただ、緊急時はかかりつけの歯科医院でよく相談してください。
歯磨き指導を受けるのはいつでもよろしいです。

ムシ歯菌の家族内伝播

ある文献によると、ミュータンスレンサ球菌を3家族13人で調査したところ、子どもの保有菌種10株のうち

  1.母親由来 5株
  2.父親由来 1株
  3.その他  4株
 
が見つかったそうです。少なくとも、お母さんは妊娠前にムシ歯の治療を済ませておくことが望ましいと思われます。

乳幼児がムシ歯になりやすい条件

小児歯科学会のある論文には次の条件が記載されています。

1.1歳6ヶ月時におやつの回数が4回以上
2.1歳6ヶ月時に離乳が完了していない場合
3.1歳6ヶ月時に母親のムシ歯が多いとき
4.母親がそのときの家庭環境ではムシ歯が予防できないと思い込んでいるとき

おやつの回数は多くても3回にしましょう。
1歳6ヶ月時までには離乳を完了させましょう。
また、お母さんは妊娠前にムシ歯の治療をしておきましょう。

一番最初に生える乳歯

 一番最初に生える乳歯
生後6ヶ月頃に下の前歯が生えます。早い子どもさんだと生後4ヶ月ごろに生える場合もあります。生まれたときに生えている歯を先天歯(出産歯)といいます。これで舌小帯を傷つける場合は削合する場合もあります。

乳歯は全部で20本あります。上下の真ん中を正中といいます。正中からABCDEと呼びます。歯科用語では下記のようになっています。
  
  乳中切歯=A
  乳側切歯=B
  乳犬歯 =C
  第一乳臼歯=D
  第二乳臼歯=E


乳歯列はほぼ円形のアーチです。永久歯列には放物線形、U字形、V字形などになっています。
生える順序はABDCEです。まず乳中切歯(A)が生えてきます。ついでその隣の乳側切歯(B)が続きます。次は乳歯の犬歯(C)をとばして第一乳臼歯(D)が生えてきます。1歳6ヶ月児健診ではこの段階の子どもさんも見られます。この段階では全部で12本です。
次いで乳犬歯(C)が生えてきます。この段階では全部で16本です。最後の第二乳臼歯(E)が生えてきます。これで20本全部そろいました。

ムシ歯になりやすい部位

ムシ歯になりやすい部位を不潔域といいます。下記の部位を三大不潔域といいます。

1.噛みあわせる面の溝とくぼみ
2.歯と歯の間
3.歯と歯ぐきの境め

噛み合せ面の溝のムシ歯

6歳臼歯のムシ歯

6歳臼歯の噛み合わせの面の形

小さいくぼみや溝が見られます。そこに食べかすがたまるとムシ歯になりやすい状態になります。小窩裂溝齲蝕(しょうかれっこう うしょく)といいます。齲蝕(うしょく)とはムシ歯のことです。

歯ブラシでただ磨いても汚れは完全には取れません。歯ブラシの動きが早すぎると、高い山の部分だけしか磨けません。もともと山の部分はムシ歯になりにくいところです。むし歯になりやすい「くぼみ」や「みぞ」の部分をよくみがくためにはどうすればよいのでしょうか?

歯ブラシを軽く押しつけて「くぼみ」や「みぞ」に毛先がよく入るようにします。そのあと少しずつずらしていきます。そうすることで同じ「くぼみ」や「みぞ」に歯ブラシの毛先が何回も入り、汚れが取れやすくなります。乳歯の奥歯つまり乳臼歯は6歳臼歯を縮小したような形になっています。6歳臼歯がよく磨けると他の歯もよく磨けるようになります。

6歳臼歯の噛み合わせの面の形

2歳児の下の歯

2歳の時のムシ歯ゼロ

2歳児の左下第一乳臼歯と左右の第二乳臼歯のムシ歯

1年後のムシ歯

歯はいつごろからできるか?

乳歯の歯胚(歯のもとになる組織)の形成は、胎生7週から10週に開始され、石灰化(固い組織がつくられる)開始は、胎生4月から6月です。

永久歯の歯胚の形成は胎生3.5月から4月ごろに開始され、石灰化の開始は出生時です。「おぎゃー」と生まれたときに永久歯の固い組織がつくられはじめるということです。

アゴの骨はいつごろからできるか?

下のアゴの骨の原基(もとになる組織)がつくられるのは、胎生5週で、その1週間後に固い組織である石灰化が開始されます。下顎骨の大体の形  ができるのは、胎生13週から14週です。

上のアゴの骨の原基がつくられるのは、胎生6週で、その2−3日後に石灰化が開始されます。上顎骨の大体の形ができるのは、胎生12週から13週です。

発育空隙

乳歯の間のすき間。すき間のある方が正常です。永久歯が生えてくるときに利用されます。

【空隙のないもの】
上 7.0%
下 24.7%
【「小児の咬合誘導」(中田稔著)より】
発育空隙

【霊長空隙】上の乳側切歯の遠心と下の乳犬歯の遠心の空隙
霊長空隙

【発育空隙のほとんどない乳歯列】
発育空隙のほとんどない乳歯列

【7年後 21⏊12叢生、犬歯の萌出スペースも不足している症例】
【7年後 21⏊12叢生、犬歯の萌出スペースも不足している症例】

胎児性アルコール症候群の子どもの症状

妊娠しているときにアルコールを飲むと次のような症状が出ることがあります。

1.知力遅延
2.兎唇、中顔面の形成不全
3.短い眼瞼孔
4.動作発展が遅れる
5.3歳になった時点では、体重、身長および
 頭囲が小さく、成長が遅れており、身体上
 にも異常を示す子どもが増加」している
6.7歳になった時点知能指数IQが低い
7.14歳で集中力、記憶力が低い

妊娠中のアルコール過剰摂取

1.胎児の栄養不足
  アミノ酸、B1、B2、葉酸、亜鉛
2.肝臓障害
3.心臓、骨髄、神経にも影響する
4.得に食前のアルコールの害は大きい
5.アルコール摂取の時間が短いほど害が大きい

妊娠中の痛み止めを飲むとき

妊娠中の投薬は注意が必要です。鎮痛薬でも抗生物質以上の副作用が出る場合があります。酸性の鎮痛薬は注意が必要です。特に次のような注意が必要です。

 1.塩基性の鎮痛剤
 2.母乳に分泌されないもの
 3.器官形成期を避ける(胎生16週)
   4.抗生物質より影響が大きい

当院では、塩基性の鎮痛薬、さらに母乳に分泌されない鎮痛薬を常備しています。

胎児性タバコ病

妊娠中にタバコを吸うと次のような異常が起こる場合があります。
妊婦の喫煙 10ー16本/日以上のとき

 1.早産7倍、未熟児5倍
 2.先天異常
 3.小児ガンになる危険性も高い


妊婦さんの喫煙はやめた方が無難です。