できるだけ歯を抜かない大臼歯遠心移動法

大臼歯遠心移動について

1990年に、当院がはじめて東北矯正学会で大臼歯遠心移動について発表しました。当院が大臼歯遠心移動をはじめた理由は歯を抜いて矯正治療をする方法に疑問を持ったからです。1986年にむつ市で開業する前に公立野辺地病院で歯科口腔外科医長として勤務していましたが、当時は乳歯反対咬合の治療をしていました。乳歯反対咬合の子どもたちが多かったからです。患者さんに導かれて矯正治療を勉強しました。ただ、ワイヤーを曲げることは学生時代から得意で、ポリクリというグループでの矯正の臨床実習では、グループを代表して私がワイヤーベンディングを行っていました。

当時は矯正学教室で研修してきたいわゆる矯正専門医と称する先生たちは抜歯矯正治療が主体でした。抜歯矯正には歯列弓が狭くなる、6歳臼歯の近心転位、顎関節症を引き起こしやすいなどいろいろな副作用があります。ただ症例によっては、抜歯が必要な場合もあります。

その後10年経ち、15年経過した2005年ころには、大臼歯遠心移動を手がける先生も増えました。あれから25年が経過して、過去を振り返ると、当時の考え方は正しかったと思っています。

【大臼歯遠心移動について】
大臼歯遠心移動のバイオメカニクス

遠心移動効果模式図

上図からわかるように、歯列弓を拡大してさらに歯をわずかに回転すると遠心移動するスペースが確保できます。

6歳臼歯、12歳臼歯を大臼歯と言います。通常は、他の歯を動かすときの固定原となる大きな安定した歯です。歯根も2−3本あります。通常は、動かしにくい大臼歯遠心移動は特殊なテクニックが必要です。私が大臼歯遠心移動を開始した27年前は、日本の文献は3編だけで、ほとんどの矯正専門医の先生方も行っていませんでした。抜歯して簡単に並べる先生がほとんどでした。

大臼歯を後ろに移動させることを「大臼歯遠心移動法」と言います。1988年当時、大臼歯遠心移動法を実践している歯科医師は日本で10人もいなかったと記憶しています。大臼歯を遠心に移動させることで必要なスペースを確保できます。

Ⅰ級不正咬合症例

10歳男子初診時

10歳男子初診時

混合歯列期の大臼歯遠心移動のためにMLJ2という装置を開発しました

混合歯列期の大臼歯遠心移動のためにMLJ2という装置を開発しました。

動的矯正治療3年6ヶ月後

動的矯正治療3年6ヶ月後

Ⅱ級不正咬合症例

8歳女子初診時

8歳女子初診時

大臼歯遠心移動開始と終了

大臼歯遠心移動開始と終了

動的矯正治療1ヶ月後

動的矯正治療1ヶ月後

Ⅲ級不正咬合症例

10歳男子初診時

10歳男子初診時

4前歯整列開始

4前歯整列開始

MLJ2装着 6番円移動開始

MLJ2装着 6番円移動開始

動的治療終了後10ヶ月

動的治療終了後10ヶ月

Ⅲ級偏位症例

11歳男子初診時 下顎左側偏位

11歳男子初診時 下顎左側偏位

MLJ2装着 4前歯整列後

MLJ2装着 4前歯整列後

動的治療終了後5ケ月

動的治療終了後5ケ月